サブプライムローン問題に端を発した世界金融恐慌が発生した際、「日本の金融機関は不良債権処理は既に完了しており、傷が浅いため、日本経済についてはそれほど心配する必要がない」との見方がほとんどでしたが、それが非常に甘い見通しであったことは言うまでもありません。
というのも、大手銀行6グループの2009年3月期の不良債権処理損失が6グループ計で1兆7000億円と、4年ぶりの大きな規模に達する見込みが出てきたためです。これらの不良債権の処理損失額は2003年3月期では5兆円超となっていましたが、国内景気が回復したため減少に転じ、さらに2006年3月期には貸倒引当金の戻り入れも約3000億円発生し、収益を押し上げる要因となりました。しかしそれがすごろくの戻りの如く2009年3月期は融資先の業績悪化のため、貸倒引当金を計上することが求められ、不良債権の処理損失が大きくかさんでいることが主な要因となっています。
これに伴い6グループの最終損益は、6グループ計で2008年3月期の約1兆8000億円の黒字から 1兆1970億円の赤字に転落するようです。保有株の減損処理については一段落したとの楽観的な見方もありますが、今後、日本経済および世界経済の急回復も見込みにくく、企業業績の先行きが見えない点から日本経済を映し出す鏡である銀行決算もそこに引きすられていくのでしょう。
しかし、そのような状況下であっても無理な貸し剥がしなどの暴挙に出ないよう、銀行の良心を失わないような良識ある行動を見せてもらいたいものですね。
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