2009年5月23日土曜日

WHOが豚インフルエンザ「フェーズ6」の定義を変更へ

 WHOがフェーズ6の定義を変更するようです。既存の基準では、大陸以外では発生地域レベルにおける持続的な感染が確認された場合は「フェーズ6」と定義していましたが2009年5月22日開催のWHO年次総会では、加盟する各国から、豚インフルエンザは弱毒性なのだから柔軟に判断すべきとの意見が多数出たため、基準変更に至ったようです。



 豚インフルエンザの警戒水準を引き上げるにあたっては、アメリカ以外では最も感染者の多い日本の動向に注目が集まっていたが、WHOの事務局長補代理であるフクダ氏は、定義変更のため、日本で地域レベルの持続的感染が確認されたとしても、すぐにフェーズ6に上げなくてもとの見解を発表したうえで、豚インフルエンザの警戒水準「フェーズ6」の定義を「人類に重大危機が差し迫っている時期」と変更しました。その結果として、現状の日本の警戒水準は当面フェーズ5に据置かれるようです。
 


 もっとも既存の警戒水準は鳥インフルエンザ(強毒性)の感染拡大を見込んで策定されたもので、今後、各インフルエンザの毒性についても判断材料に加えて、新しい定義の詳細を詰めるようです。


 

2009年5月22日金曜日

首都圏で老人にやさしくない老齢化が進行!??

 国土交通相の金子一義大臣が閣議提示した白書によれば、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の市町村別将来推計人口」より算出したデータを基に計算を行うと、2005年に761万人だった東京、神奈川、埼玉、千葉などの8都県の高齢者人口は、2015年には、なんと1078万人になると見込まれているようです。



 2005年からの伸率は42%に達し、これは全国平均の伸び率と比較しても11%も高いようで、これは高度成長期に首都圏近郊の新興住宅地などに居住した団塊の世代の老齢化がこれからいよいよ本格化するという事です。


 2015年には、8都県では4人に1人が高齢者となるというから本当に老齢化がすさまじい状況に陥る訳です。なかでも特にすさまじい高齢化が進むのは都心から50Km圏内で、要はベッドタウンとして、通勤・通学するために宅地開発が進んだ地域で、例えば千葉県浦安市では10年間で浦安市は80%以上も増加、また多摩ニュータウンを抱える多摩市や稲城市、横浜の青葉区等でも60%から80%増えるというから脅威です。


 
 その一方で、歩道段差などの道路バリアフリー化は、東京と栃木以外の6県では全国平均より遅れているとの事なので、「老人にやさしくない老齢化」が深耕していくということでなんともやるせない気分となります。

2009年5月21日木曜日

豚インフルエンザ、ついに「首都圏」へ上陸!

 もはや豚インフルエンザの感染が首都圏に来るのも時間の問題という状況になっていましたが、東京都と川崎市は2009年5月20日、アメリカのニューヨークから帰国した2人の女子高校生が、豚インフルエンザに感染したことを発表しました。



 日本では、近畿地方の3府県で感染が確認されていたものの、首都圏での感染確認は初めての事で、これで国内の豚インフルエンザ感染者は前日より74人増え合計で267人にも上りました。



 女子高校生が通っていたのは洗足学園高校。同校によると、アメリカへの旅行には洗足学園高校から合わせて6人の生徒と教師1人が参加し、洗足学園高校以外でも5校から10名の生徒が参加したとの事ですが、前田隆芳校長によれば「弱毒性ということを考慮して今回の企画を強行」したとの事で、「どのようなルートで感染したか、早急に解明したい。」と話しているようです。



 一方で東京都と川崎市は2人の行動範囲が限定され、感染拡大の恐れは低いとしていますが、学校休校などは行わない方針のようです。ただし帰りの飛行機の同乗者は大丈夫か、すり抜けていないかなどを考えるとやはり、このまま首都圏が無事でいる確率は極めて低いのではないでしょうか。



 厚労省は、学校休校や集会自粛などの新型インフルエンザ感染拡大防止措置の対象となる「指定地域」に兵庫県の尼崎市、西宮市、滋賀県の大津市、草津市などを追加しましたが、これで指定は兵庫県15市4町、大阪府8市2町、滋賀県2市に広がった訳ですが冷静な対応が求められるところですね。

2009年5月19日火曜日

エーエム・ピーエム買収白紙でローソンはどうなるのか???

 ローソンは、三菱商事傘下の全国展開の大手コンビニでセブンイレブンに次いで業界2位の販売高を誇っています。



 そんなローソンですが、日本経済新聞が「エーエム・ピーエム・ジャパン(am/pm)の買収が白紙」と報道した事に対して、「現時点で、白紙撤回が決まったという事実は無根。もし今後、なんらかの事実が決定した場合は、速やかに公表する」とのコメントを発表しました。



 というのも、日本経済新聞の報道を受け、ローソンの株価は市場の失望を誘ったため反落し一時4000円強まで下落したという事情があるからです。



 そもそもエーエム・ピーエムは、東京都内の一等地のオフィスビルの中などの優良地に多くの店を出店しており、この買収により、ローソンの収益向上に大きく貢献するとの期待があったと言われています。



 ローソンは2009年2月25日に、「レックス・ホールディングスとエーエム・ピーエムの子会社化について基本合意した」と発表しましたが、その後、株価が急上昇したのと対照的ですね。



 ただし、一部には「AMPM買収が白紙撤回となっても、ローソンの業績に与える影響はそれほど大きくない」と冷静な声もあります。というのも「エーエム・ピーエムの押し上げ効果については、業績予想には織り込まれていなかった」というのがその理由のようです。

2009年5月18日月曜日

エコポイント?エコポイントってなあに???

 エコポイントとは、正式にはエコ・アクション・ポイントというのですが、消費者によるエコ商品(=温暖化対策型商品)の購入に対して経済的なインセンティブを付与することにより購入を促進するための仕組みです。



 具体的には、エコポイントは、エコ商品を購入すると付与されるのですが、貯まったポイントで、さまざまな商品・サービスとの交換や電子マネーとの交換などができるように企画されています。さらにエコポイント1ポイントは1円に相当するとの事で当然の事ながらポイントが多い製品ほど価格も高くなっています。



 エコポイント制度が始まり最初の週末となった5月16日から17日は、さすがに家電量販店では対象テレビ、冷蔵庫、エアコンの売上が増加したようで、こういった商品の最盛期ではないだけに、売上高を大きく伸ばす量販店が多く、それなりに経済活性化に貢献しているようです。



 例えば、ヤマダ電機では、テレビと冷蔵庫の販売額が前年比で50%程度増加し、エアコンも40%増加したようです。さらにヨドバシカメラでも前年比200%前後の売れ行きを示す商品が多く買い控えていた人の購入が目立っているようですね。



 このように家電量販店や各メーカーは、エコポイント制度の恩恵を受けそれなりに潤ったようですが、エコポイント自体は適用できる期間が2010年3月まで続くだけに、当初の勢いがどこまで続くかは不明といった見方もあるようです。

2009年5月16日土曜日

小沢代表の辞任で西松問題には決着がつくのでしょうか?

 小沢代表の辞任で西松問題には決着がつくのでしょうか?



 西松建設が、2009年1月に裏金問題について内部調査委員会を設置し弁護士などの外部委員の助言を受けつつ、社員等から事情聴取して調査を進めてきましたが、巨額献金事件に関する内部調査の結果を公表しました。



 その結果によりますと、政界側への献金総額は2006年までの10年間強で約4億7000万円との事!さらに脱法的な政治団体の設立による政治献金であると自ら認める格好となりました。その中でも海外で作った裏金が約8億9000万円と判明しましたが、これは国沢幹雄前社長が不正に主導していたようで、西松建設のコンプライアンスへの意識の薄さが改めて浮き彫りとなった格好です。



 この脱法行為は、政治資金規正法改正の企業献金の禁止を受けたもので、国沢前社長が新政治問題研究会と未来産業研究会という2つのダミー団体設立を画策したようです。



 不正賞与を支給された社員は約350人、支払総額は約11億円との事で、単純計算では1人300万円に上りますが、税金を差引いて、その中で小沢一郎民主党代表の関連政治団体の献金およびパーティー券購入総額が約4億7800万円に上ったとの事ですから、かなりおおきなインパクトがありますね。



 この献金目的ですが、「工事受注」ではなく、「政治家からの受注活動妨害阻止」と言いますから、未だにかなりの政治家の圧力というものがあると改めて認識できるのではないでしょうか。このような悪事に知恵を絞るというよりも小学校など学校の耐震工事の推進などやるべきことはもっといろいろあるように感じられるのですが。
 


 海外を舞台にした一連の不正取引は巧妙で悪質なスキームと共に、国税局に支出先を明かさない使途秘匿金が5年間で26億円に上ると言いますから、ゼネコンの不正経理の闇もまだまだ奥深いものがあるようです。

2009年5月12日火曜日

ロシア政府と日本政府が東シベリアの油田権益で合意へ!

 ロシア政府と日本政府が東シベリアの油田権益で合意に達しました。ロシアでの油田開発に関しては、日本企業も参加するサハリンでのガス油田開発事業においてロシア政府から一時工事を中断することを求められた経緯もあるためか、日本政府の出番となったようです。



 日本政府は、ロシアの東シベリア地域での原油を開発することを目的に、イルクーツク州中部の2鉱区で地下資源の鉱業権を取得することとなったようです。



 同地区の原油の埋蔵量は今後、本格的に調査を開始となるようですが、周りにも有望な油田が存在することもあり、数億バレル程度が見込まれ、この量となると、国際的に見ても中規模クラスの油田に発展することも期待されているようです。



 プーチン首相は来日前インタビューにおいて、エネルギー分野で経済協力の具体化に期待を示していた事から急遽の合意ともなったようですが、その事業費は総額で150億円に達する見込でありJOGMECと現地企業のイルクーツク石油が共同で出資して新会社を立ち上げ事業に入る見込みで、鉱業権についてはJOGMECが49%、イルクーツク石油が51%を取得する事をなります。



 ここで商業ベースに乗れば、JOGMECの権益を日本の民間企業に引き継ぐ方針だそうですが、税金投入の本事業はさてうまく行くのでしょうか?

2009年5月8日金曜日

ファストフードと居酒屋がファミレスのライバルへ!

 H&Mなど「ファストファッション」が異様な好調ぶりを示す中、元祖「ファスト」である「ファストフード」も巻きなおしを図っているところが目立ちますね。低価格を売りとするファストフードはファミリー需要喚起を狙い、積極的な投資を行っている例が多いようです。



 例えば牛丼の吉野家は、2009年度の改装費用を前年比で20%増と、ほとんどすべての郊外店舗を、カウンター席が中心だった既存店舗レイアウトを修正し、「テーブル席を中心としたファミリータイプ」にチェンジするようです。



 またマクドナルドもファミリー向の店舗数を拡大するため、店舗投資額を10%程度増やすことで、顧客の節約志向に対応し、価格帯が高いファミリーレストランから客足がとれると判断しているようです。



 なんでも、テーブル席が中心となる店舗に改装することでファミリー需要が1割程度、増加することがこれまでの経験則からわかっているようで、これで投資にも一段と力が入っているのです。



 またファミレスの顧客を狙っているのは、ファストフードだけではなく、大手居酒屋のチムニーもファミリーの取込を狙い改装を増加させる方針ですが、居酒屋にファミリーの抵抗感がなくなっているため、ファミリーを入れやすい広間の席を増加させ、取分けができる大皿料理が多く、ファミレスより1人辺りの客単価が安いという居酒屋の強みを活用するとか。ファミレスでは、1人当支払額は1000円程度で、4人家族の場合、5000円程度かかるのが一般的ですが、居酒屋やファストフードの場合は合計1000円程度安くなることから、今後ともファミリー狙いの戦略は拡大していくことでしょう。

2009年5月7日木曜日

トヨタの真骨頂は発揮できるのか?

 カンバン方式などトヨタの生産方式やコストマネジメントの手法は「乾いたぞうきんを絞る」と揶揄されるほど厳しくて有名ですが、北米の自動車販売が極端に鈍る中、トヨタのコスト削減の真骨頂が問われ、王者の座に居座れるかどうかの分かれ目に来ているようです。



 トヨタへ対する市場の目が厳しい背景には、世界金融恐慌後に来て現れたトヨタ独自のコスト構造が挙げられるようです。というのもトヨタが前期に見込んだ車両販売台数は732万台であり、その固定費の水準が高止まりしていることに問題の根源があるようです。



 トヨタはこれまで、スバルで有名な富士重工業1社分にあたる生産規模50万台程度を増やすため、日本や北米にとどまらず、全世界で生産設備を大きく強化してきたのです。結果として、設備投資などの減価償却費や従業員数などの固定費用も大幅にアップしました。



 そこで来て、最悪のタイミングで世界金融恐慌に直撃され、設備稼働率の急降下を招いたため、結果としてトヨタの世界販売台数は生産能力の7割を下回る水準となってしまったという訳です。



 ちなみにホンダの同水準は8割近くであり、ハイブリッドでもライバルであるホンダの健闘が目立つ結果となり、「世界最強の製造業」と呼ばれたかつてのトヨタの面目が立たなくなってしまったのです。



今後の復活については、早期の連結営業利益の黒字化が望まれるところですが、一般的な見通しでは2010年3月期もトヨタは連結営業赤字が続くとの見方が大勢を占めており、今後のコスト削減によりトヨタの真骨頂が問われるところでしょう。

2009年5月2日土曜日

大手銀行6グループは不良債権処理損失額が1.7兆円!???

 サブプライムローン問題に端を発した世界金融恐慌が発生した際、「日本の金融機関は不良債権処理は既に完了しており、傷が浅いため、日本経済についてはそれほど心配する必要がない」との見方がほとんどでしたが、それが非常に甘い見通しであったことは言うまでもありません。



 というのも、大手銀行6グループの2009年3月期の不良債権処理損失が6グループ計で1兆7000億円と、4年ぶりの大きな規模に達する見込みが出てきたためです。これらの不良債権の処理損失額は2003年3月期では5兆円超となっていましたが、国内景気が回復したため減少に転じ、さらに2006年3月期には貸倒引当金の戻り入れも約3000億円発生し、収益を押し上げる要因となりました。しかしそれがすごろくの戻りの如く2009年3月期は融資先の業績悪化のため、貸倒引当金を計上することが求められ、不良債権の処理損失が大きくかさんでいることが主な要因となっています。

 

 これに伴い6グループの最終損益は、6グループ計で2008年3月期の約1兆8000億円の黒字から 1兆1970億円の赤字に転落するようです。保有株の減損処理については一段落したとの楽観的な見方もありますが、今後、日本経済および世界経済の急回復も見込みにくく、企業業績の先行きが見えない点から日本経済を映し出す鏡である銀行決算もそこに引きすられていくのでしょう。



 しかし、そのような状況下であっても無理な貸し剥がしなどの暴挙に出ないよう、銀行の良心を失わないような良識ある行動を見せてもらいたいものですね。